たゆたえども沈まず

図書館の横には彼岸花が咲いていた。

「もうすぐ温の誕生日だろ?」

「まあ、うん」

「部屋に誕生日プレゼント置いてきたのを思い出した。ベッドの上に」

「は!?」

足を止めると、久喜の足も止まる。振り向いて、自由な方の手が私の制服のポケットを引っ張った。

顔が近づいて、唇が重なる。離れようとすると、ポケットを掴んでいた手が背中に回る。

「急になに、」

「のんちゃんさあ、どういうつもりなわけ」

低い声が耳をかすめる。どきりとした。

どういうつもりなのか、聞きたいのはこちらだ。


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