たゆたえども沈まず

本当に、大馬鹿者だ。

「少なくとも、お金で買える友達なんてすぐに消えちゃうよ」

「それでもいーよ」

「良くない。そんなの続けてたら幸せになれないよ」

掴んだ手を、掴まれる。
久喜の指は長い。

「今分かったんだけど、」

私の話を聞いていたのかいないのか。
思いついたような顔をして続ける。

「急にのんちゃんに会いたいって思ったのって、そういうこと言って欲しかったからかもしれない」

平気で爆弾を落としてくるから、もう私の心は荒野だ。

照れる時、ふざけたい時、久喜はのんちゃんと呼んでくる。

そんなことすら、お見通しなのに。



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