たゆたえども沈まず
間延びした返事。にこりと笑う顔。
そういえば、それは私がしていた質問だった。
「学校楽しい?」
特に何を案じたわけでもないけど、そんなことを聞いていた。久喜はそれなりに笑っていたし、友達も多かったし、敵も多かった。
「楽しい。たまに見られる温はレアだし」
「レア?」
「極めて稀って意味の」
稀なのか? んー、久喜がそう思うのなら稀なんだろう。
階段から降りてきた友達に呼ばれて、久喜は行ってしまった。
「じゃーね、のんちゃん」
ふざけたように言葉を置いて。
目が覚めると机の上だった。
やってしまった、と白み始めた窓の外を見る。