たゆたえども沈まず
一日目にして、こんな失態…。
お母さんが起きる前にシャワー浴びておかなきゃ。見つかったら煩く言われる。
ひとつに結っていたゴムを取りながら、静かに部屋を出る。廊下の窓から入ってくる光が段々と明るくなってきていた。
夢を、みた気がする。
何でも夢はいつもみるけれど、起きた瞬間に忘れてしまうのが殆どだとか。そんな雑学を思い返しながら、今日の分の英単語へと頭を切り替える。
頭から熱いシャワーを浴びた。
どうだった? と教室を出るなり尋ねてきたのは蘭子だった。
「散々」
「って言いながら温はトップを取っていくからなあ」
唇を尖らせる顔は可愛い。蘭子は出会った時から可愛い顔の子だと思っていた。