たゆたえども沈まず

一緒に放送室まで歩くことにした。本当は試験期間中は部活動停止だから部室へ入ってはいけないんだけど、まあ弱小放送部は別らしい。

まず、部室の鍵の権力を持っているのが部長だから。

ノックをせずに入ると、部長が眠っていて、換気をするプリンス先輩がいる。
「こんにちは」と言うと、振り向いてプリンススマイルで「こんにちは」と返してくれる。

「どうしたんですか、先輩。黄昏ですか? まだ午前ですよ」

「確かに午前なんだけど。もうすぐで引退だなって」

蘭子の質問に答えたプリンス先輩は、近くの椅子に座る。私は長居するつもりはないので立っていた。

文化部の引退は秋だ。今現在はまだ梅雨。
まだ先の話。



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