たゆたえども沈まず

噂をすればっていうよりも、会えたことが何となくでも嬉しいのだから、自分に言い訳のしようがない。

「え、サボり?」

「今日試験だったから、早いの」

「んで今から図書館で勉強すんのか」

よくお分かりで。

「俺も行こー」

と言った久喜はルンルンと私の前を歩いて行った。どうやら図書館に行くらしい。

行って何するのだろう、と思いながらも、まあいっかと私も図書館に入っていく。自習室の他にラウンジもあるので、私はいつもそこで勉強をしている。

久喜がラウンジまでついてくるのを見て、少し驚いた。

テーブル席に鞄を置くと、当たり前というように椅子に座る。私が黙ってそれを見ると、久喜がきょとんと首を傾げた。



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