たゆたえども沈まず

考えてみると、先輩が放送部に入って来なかったら、ずっと接点を持たずに生活していたのかもしれない。

久喜の妹と付き合ってる人の兄弟なんて私には『遠い』なんて言葉では表せないくらい関係の薄い存在。

「そういえば、先輩は彼女とかいないんですか?」

言った後に受験生だったことを思い出す。

「生まれて此の方、一度もいたことはありません」

「……何処も箱入り息子ですか?」

「あんまりそういうのに興味なくて」

王子ともてはやされているのに。
告白とかされないのかな。

久喜とは全然違う……。

「あ、今クキのこと考えた?」



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