たゆたえども沈まず

随分久しぶりな気がした。

「え、クキ? 何やってんの?」

蘭子は驚いた顔をして人差し指を久喜に向けた後、「てか、あたしはオマケか!」と突っ込んだ。

時間差のそれに久喜はクツクツと笑ってから、隣にいた数人に「先行ってて」と言う。
言われた通り、私や蘭子のことを見ながらコンビニに入って行った。

コンビニの前の日陰のベンチに座る女子高生の隣に久喜は座る。

「温は講座で、香道は補習?」

「どっちも講座」

「お疲れさまです。モナカ溶けるよ」

ハッと手元に目をやるとじわりとバニラアイスがモナカを伝っている。
急いで頬張った。

じゃあね、と久喜は立ち上がりながら言って、涼しい店内へ入った。


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