たゆたえども沈まず

行った先を見て、蘭子が目をぱちくりさせる。それから私の方を見た。

「何やってるの?」

「私に聞かれても」

「今でもクキと仲良いの温くらいしか知らないもん。今だって学校辞めて初めて会ったし」

ゴミを捨てて、鞄を持って立ち上がる。
駅までの道を蘭子と並びながら歩く。

「本当に久喜が辞めてから見たことない?」

「ないね。姿見たこともないかも」

図書館の周りでよく会うのに。

蘭子とは中学は違うけれど、私と小学校が同じだった。

だから最寄りが同じで、蘭子は久喜とも同じ小学校だったということになる。


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