たゆたえども沈まず
車に乗った久喜に引っ張られて私も乗り込む。その車内は香水とエアコンの匂いが充満していた。
「こっち来てよクキ」
「こっちこっち!」
入った途端、久喜が女子に取られる。この中にあのクラブで会ったとかいう女はいるのかな。
横目でそれを見ながら、少し窓の開いている一番後ろのシートに入った。
「うわあ」
「おお」
むくりと起き上がった姿に驚く。
どうして、ここに。
というより、どうしてこんなにこっちの車には女性が多いのか納得いった。
「のんちゃん、なんで居るの?」
「プリンス先輩こそ……」