たゆたえども沈まず

車に乗った久喜に引っ張られて私も乗り込む。その車内は香水とエアコンの匂いが充満していた。

「こっち来てよクキ」

「こっちこっち!」

入った途端、久喜が女子に取られる。この中にあのクラブで会ったとかいう女はいるのかな。

横目でそれを見ながら、少し窓の開いている一番後ろのシートに入った。

「うわあ」

「おお」

むくりと起き上がった姿に驚く。

どうして、ここに。
というより、どうしてこんなにこっちの車には女性が多いのか納得いった。

「のんちゃん、なんで居るの?」

「プリンス先輩こそ……」



< 55 / 163 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop