たゆたえども沈まず
そして、今に至る。
海が見える。プリンス先輩も気付いたみたいで窓を大きく開けてくれた。
すごく暑いというわけでもないからか、海水浴場はとても混んでいるわけじゃなかった。
駐車場でおりて、女子たちに連れ去られる久喜を見送りながら私はプリンス先輩の横をゆっくり歩く。
「プリンス先輩って、本当に顔広いですね」
「いや、元々弟が誘われたんだけど、行く直前に彼女との約束が入って、急遽身代わりになっただけ」
美男子要員ということか。
彼女ということは、久喜の妹さんだから、一緒に行こうとは言えなかったのかな。その辺のことはよく知らない。