たゆたえども沈まず

お母さんが知ったら、何言われるか分かんないな。

夢みたいな、ふわふわとした気分。

「海行って大丈夫ですよ? 私、一人で荷物番してます」

「俺日焼けすると面倒だからいいや」

「王子から姫に改名ですか?」

「気にしてるところ突かないで」

白い肌というのは大変らしい。

着替え終わった男女は海辺の方へ行って早速キャッキャと遊び始めた。その中に久喜の姿もあって、さっきはあんなこと言ってたのに女の子に腕を絡められて楽しそうにしている。

久喜が連れてきたのになあ。

そんなことを恨みがましく思ってみるけれど、声に出す勇気は毛頭ない。


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