たゆたえども沈まず




「なんかあった?」

午後になって日差しが強くなった。

先輩とパラソルの下で荷物番をしている。
本当は帰りたいけれど、図書館に行く予定だったからお金を持っていない。

「クキと話してないから」

「……久喜って気紛れですよね」

「今更」

「だって、急に不機嫌になったり、なんか、」

つまんないって言われた。
じゃあ連れて来なきゃ良かったのに。

膝を抱く。ぎゅっと寄せて、目頭が熱くなるのを押さえた。

ぽんぽんと先輩が頭を押さえてくれる。

「大変な奴、好きになったね」

それ、慰めになってませんから。


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