たゆたえども沈まず

放送部は始業式のときのマイクの調子とか放送機器管理で駆り出される。

確かに裏にいることは多いけれど、終わるまでにどうにかなるものなのか。

頭を上げた蘭子は夏期講習の時よりも日焼けしていた。

教室に鞄を置いて、体育館へ歩く。

階段を上がっていると、青山先生が廊下を歩いているのが見えた。

「おはようございます」

「おう、おはよう」

「先生も体育館ですか?」

「今日、抜き打ちで服装と頭髪検査があるから。その打ち合わせを……」

そこまで言って、ゆっくりとこちらを見る。


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