たゆたえども沈まず
ギャラリーも確認してこようと梯子に足をかけると、「あ」と先輩が声を出して上を指さした。
その通りに上を向くと、ジャージが見えた。スカートの中にジャージを穿くのは部長以外に知らない。
「おはよう。あれ、蘭子は?」
「多分ぎりぎりに来て、仕事せずに化学のワークやると思います」
「課題終わってないのかあ」
先輩が笑って言う。他人事っぽいなあ、他人事だけれど。
「王子は課題で困ったことなさそうだよね」
「課題ってのは出す三日前には終わってるもんだから」
嫌味か、と部長が眉を顰める。