たゆたえども沈まず

低い声が聞こえて、蘭子と私が振り向く。

「青山先生」

「お前何やってるんだ。始業式中に」

小声だけれど、軽い口調ではない。
先生の担当の教科は数学だけれど、蘭子の担任の先生は化学。

だから、今日化学のワークが提出なのか。

「必死にワークをやっています」

「担任に報告だな」

プリンス先輩が戻ってくる。見ると、副会長にマイクが渡っていた。

「静かにしてください。これから始業式を始めます」

始業式が始まった。

青山先生も口を開くことは辞めて、裏から表の様子を見ている。


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