ことり公園。
プロローグ
暖かな陽射しと、見知った公園のブランコ。
そばにあった桜が散って、その上には沢山の花びらが乗っかっていた。
傍らに佇むわたしと、それを払ってそこに座る、とても爽やかで幸せそうな笑顔を浮かべるブレザー姿の彼。
栗色の柔らかそうな髪が、春風に乗ってゆらゆらと揺れた。
わたしを優しく見つめる鳶色の瞳に、とくんと胸が高鳴る。
わたしは、やっぱりこの人が好きだ。
そう思った矢先だった。
「――、今すぐには結婚は出来ないから、……待ってて欲しいんだ。
俺、ぜったい幸せにするから……。」
嗚呼、わたしはなんて幸せなんだろう。
うん、って、わたしも頷かなきゃ、わたしも、――くんが好きだって、待ってるって、言わなきゃ。
出かけた言葉は、わたしの喉の奥に消えた。
―――ん、――くん。
あれ、この人は、……誰?
「――。」
応えたいのに、出てこないの。
目の前のはにかんでいた笑顔が次第に哀しそうに歪んで、淡くとも綺麗だった世界はどんどん霞んで、暗い色に染まってゆく。
待って、待って行かないで。
お願い、――くん。
どうして出てこないの、好きな気持ちは本物なのに。
「――くん!――!」
必死で叫んでも届かなくて、幸せだったその世界は消え去り、ただ真っ暗な虚無の世界へと変わってしまった。
そばにあった桜が散って、その上には沢山の花びらが乗っかっていた。
傍らに佇むわたしと、それを払ってそこに座る、とても爽やかで幸せそうな笑顔を浮かべるブレザー姿の彼。
栗色の柔らかそうな髪が、春風に乗ってゆらゆらと揺れた。
わたしを優しく見つめる鳶色の瞳に、とくんと胸が高鳴る。
わたしは、やっぱりこの人が好きだ。
そう思った矢先だった。
「――、今すぐには結婚は出来ないから、……待ってて欲しいんだ。
俺、ぜったい幸せにするから……。」
嗚呼、わたしはなんて幸せなんだろう。
うん、って、わたしも頷かなきゃ、わたしも、――くんが好きだって、待ってるって、言わなきゃ。
出かけた言葉は、わたしの喉の奥に消えた。
―――ん、――くん。
あれ、この人は、……誰?
「――。」
応えたいのに、出てこないの。
目の前のはにかんでいた笑顔が次第に哀しそうに歪んで、淡くとも綺麗だった世界はどんどん霞んで、暗い色に染まってゆく。
待って、待って行かないで。
お願い、――くん。
どうして出てこないの、好きな気持ちは本物なのに。
「――くん!――!」
必死で叫んでも届かなくて、幸せだったその世界は消え去り、ただ真っ暗な虚無の世界へと変わってしまった。
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