ことり公園。
 コウヤさんは持っていた紙袋から、綺麗に包装された箱を取り出し、丁寧にそれを外しながら、にっこりと笑った。


「ことりちゃん、好きだったでしょ。」


 好きだっただろう、と言われても、何もピンとこなかったわたしは、コウヤさんの綺麗な指先を見つめる。


 そして箱から飛び出してきたのは、オレンジ色と黄色のふたつのくまのぬいぐるみだった。


「……かわいい。」


 わたしがぼそりと言うと、コウヤさんは嬉しそうに微笑んで、横たわるわたしの隣にそのぬいぐるみを並べてくれた。


「……ありがとうございます。」

「うん、俺、最近就職の事とかで忙しくて、あんまり来られないかもしれないから。

 たまにはこれ見て思い出して欲しいからね。」


 わたしがくす、と笑うと、コウヤさんも笑い返してくれた。


「……それじゃあ、あんまり長居しても申し訳ないし、そろそろ帰るよ。バイバイことりちゃん。」


 そう、コウヤさんが病室を出て行くと、端っこの方で様子を眺めていたお母さんが、ふふ、と笑いながら、わたしのベッドの前に丸椅子を置き、腰掛けた。


「……よかったわね。」

「うん……。」


 コウヤさんのくれたぬいぐるみの柔らかな感触が頬に触れて、なんだか少しくすぐったかった。
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