ことり公園。
***


 激しい雨音に、目が覚めた。


 窓に目を向けると、どんよりとした空から、まるで地面を叩きつけるような雨が降っていた。


 雨、嫌いだな……。


 そう、ふと目を向けたサイドテーブルの卓上カレンダーは、はっきりと『6月』を指していた。


 これから雨の日が増えるんだと思い、ため息をつきながら窓辺に物憂げな視線を送った。


 それにしても、早く起きすぎた。


 時計に目を向けると、まだ早朝の5時だった。


 2度寝をしようと目を閉じるも、完全に覚めてしまったらしく、なかなか寝付けなくて、ただ何もする事がなく頭を悩ませる。


 ……この時間が、なによりも嫌いだった。


 これからのこと、思い出せない消えた過去のこと……。


 考えても考えても、仕方のないことばかりが浮かんで、とても心細く、苦しい気持ちになるから。



 それからお昼頃になり、昼食を済ませると、一気に眠気が襲ってきた。


 瞼が重くて、上手く持ち上がらない。


 そして意識も、だんだんとふわふわと何処かへ飛んでいってしまいそうになる。


 お昼寝なんてしたら、夜、眠れなくなっちゃう……。


 結局、そんな気持ちなど簡単に負けてしまった 。


 そして遠くで病室の扉が開いた音が聞こえて、夢うつつだったせいで定かではないけれど、


「好きだよ、……鈴原。」


 そんなとても切なげで、苦しそうな声が、聞こえた気がした。
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