ことり公園。
 哀しい夢を見た。


 内容はほとんど覚えてないけれど、とてもとても、哀しい夢だったことだけは何故か覚えている。


 目を覚ました時にだって、微かに目が湿っていた。


 そして視界に入ってきた病室に、違和感を感じた。


 その違和感の原因は、すぐにわかった。


 サイドテーブルに置かれた、可愛らしい白い花だった。


「これ、……誰が。」


 思わずひとり呟いて、お母さんかな、と思ったけれど、すぐに違うと思い直した。


 確か今日、水曜日はお母さんもお父さんも、来られない曜日だと言っていたはずだ。


 なら、コウヤさん……?それとも、他の誰か……?それとも、……


――『好きだよ、……鈴原。』


 もしかして、……あれは。


 夢か現実か、曖昧な記憶に歯痒さを覚える。


 そこでふと病室がやけに静かだと思い、窓に目を向けると、雨はすっかり止んでいて、灰色の雲の隙間から微かな水色が覗いていた。


 そしてそのカーテンレールにぶら下がった、何故か澄まし顔の照る照る坊主……。


 わたしはただ、はっきりしない現実にもどかしさを感じながら、それをぼんやりとみつめていた。


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