ことり公園。
***


 作業を終えた頃には、陽はすっかり落ちてしまっていた。


 綴じ終えたしおりを、教卓の上に置いておき、戸締まりをして教室を後にする。


 そして鈴原と一緒に廊下を歩いていて、ふと思った。


「……鈴原のこと、男ギライって聞いてたから、普通に話したり出来ないんだと思ってた。」


 隣で鈴原が、うん、と頷く。


「別に、その、怖いとかじゃないから、普通に話したりは出来るんだけど、

 ……ワイワイ喋る感じの人が、どうしても苦手で。」

「……そう。たかひろ、とかは?」


 鈴原は一旦空を仰いで、苦笑いを浮かべた。


「あ、……ちょっと、苦手かも。」


 俺は興味本位で聞いてしまったけれど、心の中でたかひろに謝罪した。


 そして鍵を返しに行こうと、たどり着いた職員室の方へと一歩進むと、


「あの、小鳥遊くんは、……平気……だよ。」


 鈴原の少しうわずった声が、聞こえた。


 思いがけない言動に、俺は反応に困って何も返事が出来なかった。



 学校の外に出ると、いつもとは違って、夜空が俺たちを迎えた。


「……送るよ。」


 俺が言うと、鈴原がえっ、と声をあげた。


 少し申し訳なさそうにしているけど、どうせ……。


「駅、一緒だし。朝、たまに見かける。」
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