ことり公園。
電車が駅にやっと到着すると、開いた右側の扉へと流れてゆく人混みに乗って、俺たちも電車から降りた。
同じ方向へ向かうのに別れるのもなんだかおかしくて、そのまま2人横並びに歩き、改札を抜ける。
「……」
「……」
会話もなく、不思議な気まずさから俯く俺たちの間に、ぬるい風が吹き抜けた。
「まだ、……5月なのに、暑いね。 」
沈黙が息苦しかったのか、鈴原があまり広がりそうにない話題を振ってきた。
「……うん。」
上手くない俺は、そのまま面白い会話に持って行くようなことは出来ず、相槌をうつことしか出来なかった。
ふと、隣から鈴原の視線を感じた。
気になって隣を見ると、鈴原は軽く微笑んだ。
「……あ、寝ぐせ、ついてるよ。」
「……どこ?」
今日は軽く寝坊してしまったから、と思いながら、ペタペタと頭を触り、手探りしていると、鈴原はくす、と笑った。
「ここ。」
そして細い指先で、俺の髪に触れた。
するりと撫でられて、くすぐったさを感じる。
つい反射的に、俺はそれをよけてしまった。
ハッとした時にはもう遅くて、鈴原の大きく見開いた瞳と目が合った。
「……ごめん、触られるの、苦手だから。」
「うん、……わたしこそ、ごめんね。」
鈴原が少し傷ついた顔をして、また俯いた。
俺もまた、気まずさに俯く。
……なんでよけたり、したんだろう。
鈴原の傷ついた顔が脳裏に浮かんで、俺も後悔したけれど、これ以上何かを言うのも言い訳くさくてやめた。
なんだろう、なんていうか、……むずがゆい。
同じ方向へ向かうのに別れるのもなんだかおかしくて、そのまま2人横並びに歩き、改札を抜ける。
「……」
「……」
会話もなく、不思議な気まずさから俯く俺たちの間に、ぬるい風が吹き抜けた。
「まだ、……5月なのに、暑いね。 」
沈黙が息苦しかったのか、鈴原があまり広がりそうにない話題を振ってきた。
「……うん。」
上手くない俺は、そのまま面白い会話に持って行くようなことは出来ず、相槌をうつことしか出来なかった。
ふと、隣から鈴原の視線を感じた。
気になって隣を見ると、鈴原は軽く微笑んだ。
「……あ、寝ぐせ、ついてるよ。」
「……どこ?」
今日は軽く寝坊してしまったから、と思いながら、ペタペタと頭を触り、手探りしていると、鈴原はくす、と笑った。
「ここ。」
そして細い指先で、俺の髪に触れた。
するりと撫でられて、くすぐったさを感じる。
つい反射的に、俺はそれをよけてしまった。
ハッとした時にはもう遅くて、鈴原の大きく見開いた瞳と目が合った。
「……ごめん、触られるの、苦手だから。」
「うん、……わたしこそ、ごめんね。」
鈴原が少し傷ついた顔をして、また俯いた。
俺もまた、気まずさに俯く。
……なんでよけたり、したんだろう。
鈴原の傷ついた顔が脳裏に浮かんで、俺も後悔したけれど、これ以上何かを言うのも言い訳くさくてやめた。
なんだろう、なんていうか、……むずがゆい。