ことり公園。
状況も自分のことさえもわからずに、ただ呆然と眠る男の人の顔を見つめる。
この人なら、……なにか知っているかもしれない。
何もすることがなくただじっと男の人の端正な顔を眺めていると、伏せられていた長いまつげが突然持ち上がって、美しい鳶色の瞳が姿を現した。
わたしと目が合うと、その男の人は突っ伏していた身体を起こし、椅子から立ち上がる。
その表情はとても驚いたように目を見開いていた。
「すずはら……。い、今、看護師さん呼んでくる。」
慌てた様子で背中を向ける男の人を呼び止めようと思ったけれど、身体は何故か動かせないし、喉に何かが詰まったような感覚が邪魔をして、うまく声を出せなかった。
その間に男の人は、カーテンの向こうへ姿を消してしまった。
閉じられてしまったカーテンに向けていた視線を、窓の外へと移す。
夜空で泳ぐ雲が薄い光を放つ月を覆い、また通り過ぎてゆく。
突然知らない世界に連れてこられたみたいで、なんだかとても、心細さを感じた。
やがてパタパタとした足音が聞こえて、院内で走っちゃダメよ、と女の人のひそひそ声と共に、閉じられていたカーテンが開いた。
この人なら、……なにか知っているかもしれない。
何もすることがなくただじっと男の人の端正な顔を眺めていると、伏せられていた長いまつげが突然持ち上がって、美しい鳶色の瞳が姿を現した。
わたしと目が合うと、その男の人は突っ伏していた身体を起こし、椅子から立ち上がる。
その表情はとても驚いたように目を見開いていた。
「すずはら……。い、今、看護師さん呼んでくる。」
慌てた様子で背中を向ける男の人を呼び止めようと思ったけれど、身体は何故か動かせないし、喉に何かが詰まったような感覚が邪魔をして、うまく声を出せなかった。
その間に男の人は、カーテンの向こうへ姿を消してしまった。
閉じられてしまったカーテンに向けていた視線を、窓の外へと移す。
夜空で泳ぐ雲が薄い光を放つ月を覆い、また通り過ぎてゆく。
突然知らない世界に連れてこられたみたいで、なんだかとても、心細さを感じた。
やがてパタパタとした足音が聞こえて、院内で走っちゃダメよ、と女の人のひそひそ声と共に、閉じられていたカーテンが開いた。