ことり公園。
「……ちょっと、男同士でいちゃいちゃしないでよ。」


 突然、空になったジュースのパックを握り潰しながら、鶴田が口を開いた。


「なんだよ嫉妬?小鳥遊は渡さねーぞ。」


 たかひろがからかうように言うと、鶴田が嘲るように笑った。


「まさか、いらないわよ。」


 俺はそれに、すかさずつっこむ。


「俺だって願い下げだよ。たかひろもな。」


 たかひろがそんな!と、情けない声をあげ、首を折るように項垂れた。


 ……というか、鶴田のやつ、俺たちをホモにしておきながら、よく言うよ。


 心の中で毒づきながら、ため息をつく。


 ここでふと、気がついた。


 思えば、ホモ設定になっていたのは俺だけで、たかひろは普通だった。


 どちらかといえば、たかひろのほうが危ないように見えるのに。


 というか、……危ない。


 ふらっと出て来た疑問に1人頭を悩ませていると、それはすぐに解決した。


答えは突然たかひろがあっ、と声をあげ、続けた言葉にあった。


「そういえば今日寝坊して駅の階段駆け上がってたらさ、思い切り躓いて転けかけてさ、

 そしたらそこにキレイなお姉さんが通りかかって、大丈夫?って。俺恥ずかしくて逃げちゃったよ〜。」


 ……そうだった。


 たかひろは簡単に手は出したりしないけれど、女好きだった。


 呆れた顔でたかひろを見つめていると、そんなことは露知らず、たかひろは鈴原に話を振った。


「す、鈴原はさ、好きなタイプとかって、……ある?」
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