ことり公園。
***


「鈴原、……手慣れてるね。」


 兵式飯盒に入ったお米を研ぐ鈴原の手元を見つめながら言うと、鈴原は少し照れくさそうに笑った。


「……そうかな?でもこれ小さいから、……少しやりにくいかも。」


 キャンプ場に到着すると、昼食となるカレーを作ることとなっていて、俺と鈴原は食材を切ったり、お米を研ぐ食材係の担当で、同じ班の鶴田とたかひろが火おこし係となっていた。


 外に建てられた木製の炊事場で、自然に包まれながら作業をする。


 この炊事場から少し離れたところで、沢山並べられたかまどに薪をくべたり、うちわで風を送ったりする火おこし係の背中が見えた。


 俺たちは2合のお米が入った飯盒を2つ用意すると、それをかまどの方へと持って行き、カレーの準備に移った。


「……これ、どう切るの?」


 玉ねぎを手に、鈴原に問うと、鈴原はくす、と笑った。


 鈴原にやって見せて貰い、俺も見よう見まねで玉ねぎに包丁を入れる。


「うん、上手。」


 切り終えて顔を上げると、俺の危なっかしい手元を見ていた鈴原が、微笑みながら言った。


 照れくさくて鼻の下を擦りながら目を逸らすと、鈴原が笑いを零したのがわかった。
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