ことり公園。
 鈴原が隠し味としてカルピスを入れたカレーは、いつも家で食べるのとは違って、まろやかで美味かったけれど、


 飯盒で炊いたご飯には焦げ目がついていて、折角出した甘味も苦味によってかき消された。


 俺たちは大きな屋外ハウスの下、古びた木のテーブルで、いつもの4人で向かい合って同じものを食べていた。


 俺が苦味やご飯の硬さに顔を顰めていると、目が合ったたかひろがにっ、と歯を見せて笑った。


 ……?


 なんの笑みかわからずに首を傾げていると、たかひろは言った。


「ここ、ファイアー場2つあるだろ?キャンプファイヤー参加しないでさ、そっち行って俺ら4人で花火しない?俺持ってきたからさ。」

「……その時多分、点呼とるからすぐバレるよ。」


 すかさず言うと、たかひろはつまらなさそうに表情を歪め、子供のようにえーっ、と情けない声をあげる。


「……じゃあ、就寝時間の後とかは?」

「先生が見回りとか、してるんじゃない。」


 たかひろはうーん、と唸りながら、顎に手を当て、考えているような素振りを見せる。


「あっ、そうだ。ならさ、ここ、肝試し出来る森みたいな所あったじゃん?そことかどう?」


 たかひろの提案に、鶴田と鈴原はすぐに嫌そうな顔をした。


「あたし絶対やだ。本当に化け物が出てきたらシャレになんないもん。」

「わたしも、……ちょっと。」


 乗り気じゃないらしい2人に、たかひろは肩を落としていた。


 どうやらこの話はなくなりそうだった。
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