ことり公園。
***


 狭く、薄暗い部屋の中、ぼんやりとオレンジ色の豆電球が点いた蛍光灯を見つめながら、俺は耳に障る音と、眠りたいという欲求と、必死に戦っていた。


 タオルケットを頭まで被り、その音を自分から遠ざけるも、ほぼ無意味に近い。


 イライラがピークに達した俺は、たかひろの鼻を思い切り摘んだ。


 ……今、俺が悩まされていた音の正体は、たかひろの大きないびきだった。


 たかひろは苦しそうに顔を顰め、俺の手を振り払おうとする。


 死なれても困るので、手を離すと、たかひろは再びいびきを掻き始めた。


 花火をしたいとかなんとか言っていたくせに、たかひろより少し後に俺が風呂から上がり、部屋へと行くと、こいつはもうすでに爆睡状態だった。


 俺は半ば呆れながらも、自分も疲れていたこともあり、布団に入った時だ。


 たかひろのいびきに、もう少しで寝られそうだったところを邪魔された。


 1人大きなため息をつき、前髪を掻き上げる。


 俺は諦めて1人で花火でもして時間をつぶそうと、たかひろの持ってきた花火を手に、部屋を出た。


 就寝時間は随分過ぎていたし、1度先生が見回りにも来ていたので、恐らくもう居ないだろうと思いながらも、辺りを警戒する。


 随分古びた建物だったせいか、俺が歩く度に、木目の床の軋む音が鳴って、辺りは静寂に包まれているせいか、やけにその音が大きく感じた。
< 43 / 90 >

この作品をシェア

pagetop