ことり公園。
 2本目の花火も勢いを失い、終わりが来ると、俺たちの間にまた暗闇が訪れた。


 前のめりになっていた姿勢を戻すと、俺はあの日のようにまた、鈴原の手を取った。


 その手は今日も、ひんやりと冷たい。


「……小鳥遊くん?」


 鈴原は戸惑っていたようだけれど、決してそれを振り払いはしなかった。


 ……これは嫉妬だ。


 鈴原の中に、他の男が居るのが気に入らない。


 そんなこと、みっともなくて、死んでも口にできないけれど。


「……俺も、いるよ。」

「え……?」


 俺は、左手で包み込んだ鈴原の小さな手を、きゅっと握った。


「俺も、……いる。好きな人。」


 そう言った途端、もう完全に消えたと思っていた外灯の明かりが、再び点いて、点滅を始めた。


 その時に見えた鈴原の表情が、すこし泣き出しそうに見えたのは、俺の気のせいだったのだろうか。


 強く握った左手が、俺の手を小さく握り返してきたように感じたのは、……気のせいだったのだろうか。



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