ことり公園。
 俺はまだ動いていなかった乾燥機にスイッチを入れた。


 正直あの親父が鈴原に何を話すのか皆目見当もつかないので、2人きりにはしたくなかったが、抵抗も虚しく結局強引にここ、脱衣所まで連れてこられてしまった。


 大きなため息をつくと、無駄にでかい
父の声がこの部屋まで届いてきた。


「よし、ことりちゃん。正直に答えてね。」


 俺は思わず、脱ごうとTシャツに掛けていた手を止める。


 父は続けた。


「つばさのこと、好きだろう。」


 ……何言ってんのあの親父。


 俺の中に戸惑いと父親への怒りが産まれたが、ここで出ていくのも格好悪くてやめた。


 身体が冷えていたせいで全身が寒気立って、俺は諦めて服を脱いだ。


 鈴原の声が小さいせいもあるかもしれないけれど、彼女の返答は聞こえなかった。
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