ことり公園。
風呂からあがると、父親の話はまだ続いているようだった。
鈴原はすぐになんでも信じるから、余計なことを吹き込んでないといいけれど。
相変わらず父のでかい声は、ここまでよく聞こえる。
「……玄関の写真、見た?綺麗だろう、俺の奥さん。つばさのやつもあいつに似てさ、男のクセに綺麗な顔しやがって、ほんと恨めしいったらありゃしない。
……まあ、それはいいんだけどさ、早くに母親がいなくなって、俺も仕事で忙しくてさ。
ほっぽってたからか、中身はどんどん可愛げがなくなって。」
父の声はいつになく真剣な様子で、あまり父のそういうところを見たことがなかった俺は、ついつい話に聞き入ってしまう。
「……いっつも平気な顔してたけど、本当はずっと、寂しかっただろう。
あいつなりに気を遣ってかは知らないけど、ワガママひとつ聞いたことがない。
俺としてはもう少しくらい、甘えてくれたほうが可愛いんだけどなぁ。」
「……でも、つ、つばさくんにも、可愛いところ、ありますよ。……にんじん、嫌いなところとか。」
……鈴原、あとで覚えとけ。
「それはまた、可愛いな。」
父はケラケラと馬鹿笑いしたあと、すぐにまた戻った。
「ことりちゃん、つばさのこと、……色々頼むなぁ。つばさも多分、……絶対かな。ことりちゃんのこと、好きだろうしさ。」
「え、そ、そんなこと、……ありません。だって、小鳥遊くんには……。」
そこで俺は、急いでわざと大袈裟に脱衣所の扉を開けた。
その先を言われると、親父にはどうせお見通しだろうし、また情けないと言われると思ったからだ。
2人の居るリビングへと進むと、父はスッキリした様子で俺を迎えた。
「おーう、つばさ、おかえり。」
「……うん。」
窓の外に目を向けると、さっきまで降っていた雨は、すっかり止んでいた。
鈴原はすぐになんでも信じるから、余計なことを吹き込んでないといいけれど。
相変わらず父のでかい声は、ここまでよく聞こえる。
「……玄関の写真、見た?綺麗だろう、俺の奥さん。つばさのやつもあいつに似てさ、男のクセに綺麗な顔しやがって、ほんと恨めしいったらありゃしない。
……まあ、それはいいんだけどさ、早くに母親がいなくなって、俺も仕事で忙しくてさ。
ほっぽってたからか、中身はどんどん可愛げがなくなって。」
父の声はいつになく真剣な様子で、あまり父のそういうところを見たことがなかった俺は、ついつい話に聞き入ってしまう。
「……いっつも平気な顔してたけど、本当はずっと、寂しかっただろう。
あいつなりに気を遣ってかは知らないけど、ワガママひとつ聞いたことがない。
俺としてはもう少しくらい、甘えてくれたほうが可愛いんだけどなぁ。」
「……でも、つ、つばさくんにも、可愛いところ、ありますよ。……にんじん、嫌いなところとか。」
……鈴原、あとで覚えとけ。
「それはまた、可愛いな。」
父はケラケラと馬鹿笑いしたあと、すぐにまた戻った。
「ことりちゃん、つばさのこと、……色々頼むなぁ。つばさも多分、……絶対かな。ことりちゃんのこと、好きだろうしさ。」
「え、そ、そんなこと、……ありません。だって、小鳥遊くんには……。」
そこで俺は、急いでわざと大袈裟に脱衣所の扉を開けた。
その先を言われると、親父にはどうせお見通しだろうし、また情けないと言われると思ったからだ。
2人の居るリビングへと進むと、父はスッキリした様子で俺を迎えた。
「おーう、つばさ、おかえり。」
「……うん。」
窓の外に目を向けると、さっきまで降っていた雨は、すっかり止んでいた。