ことり公園。
***


 翌日になると、お父さんとお母さんが病院を訪れてきた。


 病院の先生によると、わたしは1ヶ月程眠ったままだったらしく、お母さんはわたしを目に入れると、安堵からか、か細い声を上げながら泣いていた。


 その後ろで、お父さんも顔を伏せながら、静かに肩を震わせていた。


 わたしはただ、うまく声を出すことも出来ずに、ベッドに横たわったまま、呆然とその様子を見つめていた。


 やがて2人が落ち着くと、先生はこほん、と咳払いをひとつして、用箋鋏を片手に、淡々と話した。



 ……そうして突然突きつけられた現実は、すぐに受け入れることができないほどの物だった。


 わたしは"とある事故"で、背中を強く打ち付け、そのせいで下半身が麻痺してしまっているらしい。


 幼い頃の記憶しか残っていないのは、検査をした時脳に異常は見られなかったので、その"事故"で頭を打ったせいじゃないかということだった。


 下半身に感覚がないのは、目を覚ました時にぼんやりと疑問に思っていたことで、


 上半身は感覚があるけれど、上手く動かすことは出来なかった。


 寝たきりになるようなことはないらしいけれど、今後ずっと車椅子での生活を覚悟してほしいと言われた。


 そうしてこれからは、今のICUから一般病棟に移動して、今はほとんど動かない身体を動かせるようになるために、少しずつリハビリテーションを始めることとなった。
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