ことり公園。
「……ごめん。親父、変なことばっかり言ってたろ。」
じめじめと湿った空気の中、俺は鈴原と並んで歩いていた。
鈴原の家はここからさほど遠くないらしく、もしかしたら高校に入る前もすれ違ったりはしていたかもしれない。
「うーん、わたしにとっては結構嬉しいこと、聞けたかも。」
鈴原は空を仰ぎ、くす、と笑った。
なんのことを言っているのかわからず、少しぞっとした。
「それにしても、小鳥遊くんのお父さん、想像と全然違って、圧倒されちゃった。」
「……想像?」
「なんかもっと、物静かな感じかと。」
俺は父親のいつもの様子を頭に浮かべ
た。
「……正反対だな。」
「うん、どちらかというと、わたしのお父さんのほうが、もともと抱いてたイメージに近いかも。」
「……へぇ。」
そんな会話をしていると、すぐに鈴原の家に到着した。
「……じゃあ、また。学校で。」
そう、踵を返すと、鈴原があっ、と声をあげた。
「洗濯物……。」
首だけ振り返ると、鈴原の家のベランダに干しっぱなしの洗濯物があるのが目に入った。
ショッピングモールを出たときの鈴原のつぶやきを思い出し、俺は苦笑いした。
目が合った鈴原も、同じように笑っていた。