ことり公園。
「あの、……。」

「たっだいまー!」


 それから鈴原が何か言おうとした瞬間、たかひろと鶴田が帰って来た。


「あ、おかえり……。」


 たかひろの馬鹿でかい声に、鈴原が返す。



 途切れた言葉が気になりつつも、聞き返せるような空気ではなくなったため、俺はたかひろに話を振った。


「なんだったの?」

「あー、来週からテストだろー?なんかその諸注意みたいなん。HRの時に説明しろってさ。前も聞いたし、いらねーよなぁ。」

「ああ、なるほど。」


 空っぽになったお弁当の蓋を閉じ、袋にまとめていると、たかひろはじっとりと俺を睨みつけてきた。


「なんだよ。」

「いいやー?どうせ天才小鳥遊クンはまた上位に食い込むんだろうなー、と思って。いいよなー、天才は。1週間前だってのに、全く焦りも感じられない。」

「俺が天才とかじゃなくて、たかひろがやってないだけだろ。」

「いやいやいや、中学の頃からずっと1位だった人がよく言うよ。まあ前回は、残念ながら2位みたいだったけど?」


 残念ながらと言う割に、たかひろは少し嬉しそうに笑った。


 それこそ別に1位を狙っていた訳ではなかったが、上位50名の名前が貼り出された時、自分の名前が1番前になかったことに少しの違和感はあった。
< 62 / 90 >

この作品をシェア

pagetop