ことり公園。
 今気付いてしまったことを明らかにするのはさすがにキツかったので、俺は別に気になっていたことを質問した。


「前に、……男は苦手だけど、俺は平気だって言ってたの、なんで?」


 なんか、少しトゲのある言い方になってしまったことを反省しながらも、俺は鈴原の答えに変な期待をしてしまう。


 ……そんなの、もう無駄なことだというのに。


「あ、それは……。」


 鈴原は少し動揺したように、キョロキョロ右へ左へと視線を泳がせた。


 なんの動揺なのか理解出来ずに、俺の気持ちは更に焦りを感じる。


「……ナイショ。」

「……は。」


 変に期待をしていたせいで、思わず声が漏れてしまった。


 俺のそんな気持ちなど露知らず、鈴原は少し困ったように笑った。


「だって小鳥遊くん、……絶対覚えてないんだもん。わたしだけなんて悲しいから、……ナイショ。」

「……」


 ……覚えて、ない?


 鈴原の言っていることはわからないし、結局いい答えなんて返って来ず、電車はいつもの駅に到着してしまった。
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