おやすみを言う前に
犯人がはっきりと判明して、その犯人が壁一枚隔てた向こうにいるのが怖くて怖くて仕方なくなった。
その次の日、拓馬の家で私の作った夕食を食べた後、翌日一限から授業のある私を送ってくれるという彼に恐怖が溢れてしまった。
「帰りたくない。」
同時に我慢の限界が来て涙が止まらなくなった。
「どないしたん?」
「怖い、毎日毎日隣の人が……。」
ついに打ち明けた私を拓馬は怒って、そして優しく守ってくれた。
「今は手紙で済んどるかもしらんけど何かあったらどうすんねん!そうなってからじゃ遅いんやで!」
次の日、拓馬に付き添われて家に荷物を取りに行った。
「犯人わかっとるなら懲らしめてやりたいけど、余計な刺激したらあかんやろ。とりあえずしばらくうちに居りや。」
そのままワンルームの拓馬の部屋で一緒に暮らすことになった。