おやすみを言う前に

そして一週間後、再び拓馬と共に帰宅すると、紙が大量に挟まっていた。

『どうして帰ってこないの』
『彼氏の家にいるの?』
『死ね死ね死ね死ね死ね』
『待ってるよ』
『帰っておいで』
『大好きだよ』

現物を目の当たりにした拓馬も絶句していた。


「警察に突き出すか?こんだけ証拠あったらなんとかなるやろ。」

「でも同じ大学だし、逆恨みされたら……。」

「そうやなあ。」


拓馬の家に帰ってこれからのことを話し合っていた。たまに来るには充分だけれど、ワンルームは二人で住むには狭いし、そもそもずっと世話になる訳にもいかない。


「引っ越すか。」

「そうだよね、やっぱりそれしかないね。」

「二人で。」

「うん。……え?二人?」


こうなったら引っ越すしかないだろうというのは同感だったが、何故二人?
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