おやすみを言う前に

「で?なんで来たのさ?結婚するんかい?」

「いや、その、電話でもお話しした通り、麻衣子さんと同棲させていただきたく……。」

「おお、そうやったちゃか!麻衣子がストーカーされたから一緒に住みたいゆうてたな!そんなのわざわざ来てくれなくても、勝手に持っていきなはれ!」

「え、いいんですか?」

「ええっちゃ、ええっちゃ。ふつか?ふつつか?な娘だけど、好きにしてくだはれ。ハハハッ。」

「ありがとうございます。」


こんな簡単でええんかな?

あっさりと了承をいただいてしまって肩透かしをくらったよう。何はともあれ同棲への障害がなくなったことは素直に嬉しい。


「もう、お父さん!せっかく雪町さんが来てくれたがに、何なの?その体たらくは。麻衣子!お父さん寝室に連れてって!酔っ払ったらすぐ寝て起きなくなるから。」


お母さんが部屋に入ってきて麻衣子にお父さんを連れて行かせたので、お母さんと二人きりになる。
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