おやすみを言う前に
「このままずうっと結婚しても、俺から誘い続けんと応えてくれへんのかなって考えたら、寂しくなった。」
見上げる麻衣子は戸惑ったような照れたような複雑な表情で瞬きばかり繰り返している。
「けっこ、ん?」
「俺はそのつもりやけど。」
「えっ、だってそんなの一度も。」
「なんやねん、麻衣子は俺のこと遊びだったんや?」
「そうじゃなくて、だって。」
固まって、そして再び泣き出す麻衣子。
いつかそんな日が来ればいいなと勝手に妄想していたことをここで暴露する俺は、やっぱり意地悪なのだ。
「せやから我慢してん。俺からすんの止めたら麻衣子から誘ってくれへんかなーと期待して。」