おやすみを言う前に

「当たり前やん。風呂上がりに色っぽい格好で目の前うろつかれて我慢する俺の気持ちになってみぃ。」

「色っぽいって、そんなことしてない!」

「してんねん、自覚ないだけや。」


涙が晴れてみるみる赤くなる。

飽きるどころか慣れてすらくれない麻衣子といたら、こっちも飽きる訳ないやんな。そらちょっとは慣れてきてると思うけど、ドキドキし続けてくれてんのがわかるから。


「でも、私胸ないし。」


ぼそっと呟いた一言に、また笑いが吹き出してしまう。


「もう、笑わないでっ。本気で悩んだんだから!」

「ちゃうねん。そら巨乳やったらええな思うけど。」

「やっぱり。」

「冗談や。」


勝手に思い込んで悩んで暴走してしまったのだろう。不謹慎かもしれないが、そんな彼女を見ているのはおもしろい。

どこまでも可愛い奴だなとにやけてしまうくらい。
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