小児病棟
「かっつん、今週の漫画買った？　読ませてくれよ」

病室のベッドに寝そべり、漫画を読んでいる正哉のもとに、悟が遊びに来た。
学校から帰ると、子供たちはめいめいに病棟へと戻り、六時の夕食までは自由時間なのである。みんなそれぞれ夕食までの時間を有意義に過ごすのだ。

「いただきまーす！」

六時になると、全員が食堂に集まっての夕食となる。育ち盛りの子供たちにとって、一日で一番素敵な時間だと言っても過言ではない。

「おかわりー！」

悟が、いの一番に空になった食器を持って食堂と調理場の境にあるカウンターへ向かった。

「あんたは、いつも一番ねえ……」

賄いの泉水さんが呆れながらも笑顔で悟の食器を受け取り、おかわりを盛ってくれた。悟は常に一番最初におかわりをする。泉水さんはいつも残さずに、さらにおかわりまでして自分の作った食事を食べてくれる悟が、とてもかわいかった。作り手冥利に尽きる、といったところである。
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