小児病棟
「先生!」
 
正哉が大きな声をあげた。先頭の峯岸先生が振り向いた。

「どうした?」

「裕二が、足ツッたみたいです」
 
正哉は、立ち泳ぎをしながら言った。峯岸先生は、その言葉を聞くと、すぐさまクロールで裕二のもとへ泳いできた。

「大丈夫か?」

「はい……右足がつったみたいです……」

「わかった!」
 
そう言うと、先生は近くのボートに合図をした。ボートが寄ってくる。

「先生、こいつ足つったみたいなんで、あげて下さい」
 
ボート上の先生が二人で裕二をボートに引き上げる。

「大丈夫か?」
 
ボート上で、先生が裕二にたずねた。

「はい……」
 
裕二は、唇を真っ青にしながらもコクリとうなずいた。
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