小児病棟
「すげー! こんなにあるのー?」

正哉は、それを手に取ると興奮してパラパラめくった。
そんな正哉に向って塩原君は

「俺の大切なコレクションだからな。汚すなよ?」

と心配そうに、ページをめくる正哉の動きを追っていた。しかし、そんなことおかまいない正哉は、かたっぱしからページをめくり

「すげー! これ、三百キロも出るんだー」

などと、一心不乱に見たものだ。そんなふうに感動している正哉を見て、まんざらでもない塩原君は 

「まさ! こっちにもあるぞ!」

と、別のノートを出してきて正哉に見せた。

表紙には、雑誌で連載中の漫画のタイトルが書かれている。正哉はページを開き

「すげー! これ、全部切り抜いたのー?」

と、またまた感動した。そのノートには、スーパーカーブームの火付け役となったその漫画の切り抜きが貼ってあった。こちらも、切り抜きの下に説明書きがされていた。

「すげーなー! よし! 俺も作ろう!」

深い感銘を受け、正哉はその後、自分も切り抜きを始めた。しかし飽きっぽい性格だったため長くは続かず、ノートも数ページ進んだところで作業は止まってしまい、そのままになっていた。

――そう言えば、あのノート、どうしたっけ……
 
正哉は思い出して思わず一人で苦笑いをした。
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