小児病棟
「うーん……」

しかし、そんなやりとりを見ながら正哉は、腕組みをしてみけんにしわを寄せた。

実は正哉は、少し怖かったのである。幼い頃より、ホラー漫画やホラ―映画が大に苦手であった。六年生になった現在も、夜は一人でトイレに行けないため、誰か同じ病室の仲間を誘い、連れションを持ちかける始末なのである。

トイレでさえそんな有様なのだから、自分のいる病棟以外の場所に行くなどということは、正哉にとってはお化け屋敷より恐ろしい、想像するだけでおぞましい事であった。
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