小児病棟
「なんか……さっき看護婦さんが言ってたけど、塩原君、苦しくて庭を駆けずりまわったんだって……」
夕食後の自由時間、一号室に来た悟に正哉が言った。それを聞いた悟は
「そうか……」
と言ってうつむいた。
「うん……それで、最後は壁をよじ登ろうとしたって……」
「……よっぽど、苦しかったんだろうな、塩原君……」
「うん……指先がね……爪がね、ボロボロになっていて血が滲んでいたんだって……」
「うっ……」
悟は、思わず顔をしかめた。
「……苦しかっただろうね……塩原君……」
正哉は、ベッドから腰をあげると、窓の外を見てと、つぶやいた。
夕食後の自由時間、一号室に来た悟に正哉が言った。それを聞いた悟は
「そうか……」
と言ってうつむいた。
「うん……それで、最後は壁をよじ登ろうとしたって……」
「……よっぽど、苦しかったんだろうな、塩原君……」
「うん……指先がね……爪がね、ボロボロになっていて血が滲んでいたんだって……」
「うっ……」
悟は、思わず顔をしかめた。
「……苦しかっただろうね……塩原君……」
正哉は、ベッドから腰をあげると、窓の外を見てと、つぶやいた。