小児病棟
「な、なんだよ……別に怖くなんかねえよ……」

正哉は口を尖らせてそうアピールするものの、周りの反応は冷ややかなものである。裕二と同じ五年生の慶一でさえ

「やっぱ、怖いんだー! 正哉君」

と、正哉を馬鹿にする始末である。

悟はともかく、年下の裕二や慶一になめられていては、これからの入院生活に支障をきたしかねない。

「……いいよ……行ってみる?」

正哉は起き上がり、枕もとに本を置いた。それを見た悟は、腰かけていた正哉のベッドからピョンと飛び降りた。
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