小児病棟
「はい。じゃあ一号室から順番に持ってってね」

朝食を終え、子供たちがめいめいの病室へ戻ろうとする頃、婦長さんが大量の薬の入ったワゴンを引っ張ってきてみんなの前にやってきた。

食事が終わるとナースがそれぞれにあわせた薬を各自に配るのだ。

「これ、嫌なんだよな……」

正哉はカプセルや粉薬を手にため息をついた。オレンジや黄色のつぶつぶが、いかにも苦そうな雰囲気をかもし出し、正哉を威嚇して威圧する。治療のため仕方がないとは言いながらも、これだけの薬を一日に三回も飲むのはとても憂鬱だった。
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