小児病棟
「もう……しょうがねえなあ……」

正哉は、一人でここに残されてはたまらないとばかりに、エレベーターを降り三人を追いかけた。

廊下に出てみると、少しかび臭い匂いがした。ちょっと湿気がこもっているようだった。

「なんか、やっと探検って感じになってきたな」

廊下を進みながら、先頭の悟はあたりを見回す。他の三人は、歩きながら徐々に悟に近づいていた。四人は、体をひしめき合わせながら廊下を進んだ。歩く足音がカッツンカッツンと壁に反響している。

しばらく進むと廊下は二股に分かれていた。どちらも人の気配はなく、しーんと静まり返っている。
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