小児病棟
「し! 死体? ……」

正哉は、そう言ったまま固まった。


「うん……なんとなく……」

「ば…ばかだなお前……んなもん、あるわけねえだろ!」

動揺しつつも必死に裕二をたしなめる正哉。それは、あたかも自らの不安を払しょくしようとしているようだった。

そんなやり取りを聞いていた悟は

「死体? そうかあ、もしかしてこっちに霊安室があるのかもしれねえな!」

と言って歩を止めた。


正哉は嫌な予感がした。悟のことだ、霊安室なんて絶対に行くと言うに決まっている。これは是が非でも阻止せねば、と、口を開いた。
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