小児病棟
「悟……本当に行くの?」

案の定の展開に正哉は不安げに念を押す。

「おう! 一回行ってみたかったんだよ、霊安室! 正哉、行こうぜ!」

悟は、がぜん張り切って歩きはじめた。

――やはり……霊安室なんて話を聞くとあいつは絶対に行くって言うに決まってるよな……

悟の背中を見つつ、正哉はため息をついた。
しかし裕二と慶一の手前、あまり情けない姿も見せられないという事情もある。

「……じゃあ、行くか。裕二、慶一、行くぞ」

と言って、悟のあとをついて行った。裕二と慶一も正哉に続き歩き出す。まるで迷路のような暗い通路を四人は右へ左へと進んでいった。
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