小児病棟
「くっそー! どこにいんだよ!」

そんなことをつゆ知らない正哉は必死に中庭をかけずりまわっていた。しかし、木の裏側、池の中まで探すものの、誰の姿も見つけられずにいた。

「もしかするとあいつら、中庭にはいないんじゃないか?」

ふと、そんな疑問を抱いた正哉は、中庭のドアから建物内に入ってみた。

「ん? ここってどこだっけ……」

正哉は、建物に入ってしばしあたりを見回した。そこは、十二病棟と外来を繋ぐ廊下とは、中庭をはさんで反対側にあたる建物だった。

「そう言えば、こっち側って、来たことなかったな……」

正哉は、悪漢たちを探すのも忘れ、廊下を歩いてゆく。すると、やがてある病棟の入口に差し掛かった。

「ここは?? ……第八病棟、か……」
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